【韓流徒然日記】記事に登場する「関係者」というやっかいな人物を考える

2019-06-12

記事を書いていてよく使う単語に「関係者」があります。

書き手としてはそれなりの意図をもって書いているのですが、読み手の側からは、「謎の人物」であったり「架空の人物」であったり、はたまた「書き手自身のことなのでは?」などと捉えている場合も多いかと思います。「関係者などと書かずにはっきりと名前を書け」とおっしゃる方もいらっしゃることでしょう。私自身も読み手側になった時にはそう思います(笑)が、やはり「関係者」としか書けないケースも多々あるのです。

かつて私はスポーツ新聞で芸能記者をしておりましたが、熱愛、結婚、熱愛などのスクープ記事を書く場合、よく「複数の関係者の話を総合すると」「2人をよく知る関係者によると」などという言葉を使って記事を仕上げることがあります。なぜそのように書くのかといえば、ネタ元がバレないため。関係者が文字通り、所属事務所の関係者であるケースもあります。その場合ライバル紙からその事務所にクレームが行くなど迷惑をかけてしまう可能性があります。スポーツ紙や週刊誌を含めた記者たちは「あの事務所は、A紙の記者と仲がいいから、きっとあの人がリークしたんだろうな」と大体の想像はつきますけど。ただ、たまに所属事務内の統制が取れておらず、こっそり上層部の承諾を得ないまま教えてくれることもあったりするため、具体的な名前を書いてしまうと事務所内トラブルに発展しまう可能性もあり、差し控えるわけです。

一番やっかいなのは、所属事務所の担当者を「関係者」として熱愛記事を書いた直後に、SNSなどで芸能人そのものが即座に否定してしまうケース。この場合、読み手側、特にファンの方は芸能人側の主張を信用して、「またメディアが捏造記事を書いている」などと批判の声を上げることもあるでしょう。スポーツ紙や週刊誌がよく「マスゴミ」とやり玉にあげられるケースをしばしば見ます。私自身もかつてお笑い芸人の熱愛記事を書いて、朝の情報番組で取り上げられたものの、即座にTwitterで本人から否定され、ネット上には「ウソの記事」という内容の批判的なコメントがあふれ出たことがありました。こちらとしては、所属事務所に当てて、OKをもらった上で記事を書いていましたし、芸能人の立場では、CMだったり番組などさまざまな契約の理由から、否定せざるを得ない場合もあるということはこちらもわかっているので、それ自体は気になりませんでしたが、その発言によってネット上で媒体名を名指しされて「捏造記事」と言われると、やはり気分はすっきりしませんでした。

話は戻りますが、「関係者」を使うケースですが、何十年も前の話だからさりげなく明かしちゃいますけど、守秘義務のある職業の方からリークされる場合です。なぜならば、処分を受けてしまいますからね。これは関係者と書くしかありません。

このほか、所属事務所の関係者ではないものの現場に立ち会っていた人物に使うこともあります。その人の肩書や具体的な名前を書いたところで、一般の人には誰のことやらわからず、仮に書いたところで字数が無駄に増えるだけで読みにくくなる、といった理由の場合もあります。

一例をあげて説明をしてみましょう。

あるドラマの制作発表記者会見で、出席者のAさんとBさんの間でちょっとしたトラブルがありました。会見自体は特に問題なく終わったものの、舞台裏ではAさんが、所属事務所スタッフや「関係者」にBさんの態度について怒りをあらわにしていたとします。翌日のメディアには、どこにもAさんがBさんに怒りを見せていたことは書いていません。ところがCというメディアだけが、「関係者によると、AさんがBさんに対して怒っていた」と記事に書きました。

これに対してAさんのファンは「CだけがAさんがBさんに対して怒っていると書いている。Aさんはそんなことで怒る性格ではない」とその内容に疑問を呈し、「書き手だったり、わけのわからない謎の『関係者』がAさんを嫌いだから主観で書いているのでは」と、やはり「関係者」する疑惑を指摘したとします。

では、この場合、Cというメディアはなぜ「関係者」と書いたと思いますか? まず、所属事務所のスタッフもいたのに、あえて「関係者によると」とする理由は、「所属事務所スタッフによると」と書いてしまうと、Aさんの事務所とBさんの事務所同士のトラブルに発展しかねないため、配慮したわけです。では「関係者」とはいったいどういう立場の人でしょう。

実は、Aさんは日本でファンミーティングをやりたい意向があり、所属事務所は日本にいる旧知のイベント会社代表のDさんに企画を持ち込んでいました。Dさんは所属事務所から、「今度Aさんがドラマの制作発表に出席するので会ってみて」と会場に招待されていました。なので、記者会見という表の部分だけではなく、楽屋でのAさんの一連の様子をつぶさに見ていました。この場合、記事化するにあたってDさんについては「関係者」と表現するしかありません。「Aさんのファンミ企画を持ち込まれたことから記者会見会場に来ていた日本のイベント会社代表によると」と長々と書くわけにもいきませんし…。

話がややそれますが、上記例に挙げた「他のメディアに書いていない」との理由で、「本当に事実なの?」という批判もよくありますが、韓国メディアについて言えば、ご存知の方も多いと思いますが、基本的にコピペ記事ばかりだから、判で押したように同じような記事があふれています。大多数の韓国エンタメ記者も、運営する会社も、それでいいと思っているからこそそうなっているわけですが、中にはオリジナリティーを入れるために追加取材をして書くケースもあります。上記参考例で言いますと、ほとんどのメディアが、表面で見えた会見の部分だけで記事をしただけで、Cというメディアは記者会見での2人の微妙な空気に興味を持って、さらに突っ込んだ取材をして記事にしたわけです。もっとも一般的に普通のメディアは会見が終わった後、なかなか舞台裏まで行くことはできないので、仕方ないとは思いますが。上記ケースでは、たまたまCがAさんと特に仲が良かったもしくはDさんと偶然の知り合いだったため、多メディアとは違う記事にすることができたわけです。

話は戻りますが、「関係者」という言葉が確かに記事の信頼性をやや薄めてしまっていることも否定はできない部分ではありますが、きちんと存在していることも事実なのです。
これからは、記事に登場する関係者がどんな立場の人なのか、あれこれ想像をめぐらしながら読んでいただくとまた違った面白味があるかもしれません。